フルメタルソニック 開発秘話 2
フルメタルソニックの良く釣れる秘密ですが、このメタルは、限りなく「究極」に近い出来だからだと思っています。それはなによりも極薄プレートを採用した事で、抵抗が少なく、一気に水を切り裂くのですが、そのレベルがハンパない。ほんの少しのロッドの上げ幅でも超高速で反応します。実際に使ってみるとその凄さに驚くはずです。
その衝撃は凄まじかったようで、今年あたりから薄いプレートを真似して使ってくるメーカーが増えると思いますが、真似せざるを得ない程の出来だからに他なりません。
この極薄プレート、0.3・0.4・0.5・0.6ミリと全てテストしましたが、0.3ミリでは強度に不安があり、0.4ミリでは、0.3ミリと変わらないレスポンスを得られ、強度も増します。ただ、0.5ミリ以上になるとレスポンスに大きな違いが出て来ます。
通常のメタルバイブを使用した場合、リフトするロッドとラインの 角度が、90度辺りからシャクってリフトするとメタルバイブの振動が心地よく伝わると思いますが、フルメタの場合、フルキャストし、その角度が大きくなっても極薄プレートの恩恵でリフトした感覚を得る事が出来るのです。
これの何が凄いのかと言うと、「3倍以上の距離を効率良く攻める事」が出来るということ。勿論リフトも少なめで動くので、バスの目の前から消えない距離で誘う事が出来ます。3倍以上の距離をカバーするのですから、釣果は段違いになるのですが、それ以上にフルメタの釣れる秘密があります。
それは、プレートの硬さにあるのです。
日本刀にも使われる非常に硬い素材で出来たプレートは、超高速で動いた時に、フックやスナップが擦れぶつかり、その衝撃波を吸収せず共鳴させるところにあります。スピナーベイトやチャターが良く釣れるのは、金属がぶつかったりする事によるサウンドが、バスの闘争心を駆り立てる効果があり、これが、バスに強烈にアピールしていると考えられます。
実はあまりにも硬い素材を使用しているので、穴を開ける事が困難な事もあり、スタッフに渡すサンプルは、真鍮の薄いプレートで試作を多く作りましたが、真鍮では同じように作っても吸収してしまうのか?振動は手元に伝わりにくく、釣果もイマイチで、スタッフにも不評でした。
そこに、フルメタルプレートで作ったモデルを同じ状況で投入すると、釣果も一変。良く釣れるので「柔らかい素材のプレートでは吸収してしまう」と言うのが良く分かりました。
これは自分でも衝撃でした。「薄ければ動くし釣れるだろう」と思っていただけにこの硬さが効いているのに自信を深め、更に究極を目指して作り込みを繰り返したことで、引き重りせず軽快に一日中使えると同時に、これ以上無い超高速ピッチも実現する事が出来ました。これが、フルメタルソニックが圧倒的に釣れる秘密だと思います。
ところが、最終サンプルで動画を撮ったところ、大きな問題が発覚。プレートが薄い事もあり、ダブルフックがプレートに挟まるとバレてしまう事があり、完成間近の新たな問題勃発に、またもや1年間の改良テストが始まったのでした。
色々改良した結果、テールの張り出しをカットすることになりましたが、動きがバタつきアクションになり、迷宮入り。水を受けるウエイト部の大幅な改良が必要になり、膨大な時間が掛かることとなりました。
ただ、この時点で見つかって良かった。
出していたら、後悔していたことでしょう。
こんな苦労して作り上げたフルメタルソニックは、昨年も、ショートリフト後のポーズ「シャッドキルアタック」で、ビッグバスを連発したり(HPの動画「フルメタルソニック 実釣解説 -2日目-」でも見ていただけます)これはかなり衝撃の釣り方だったようで、一気にお店から無くなったぐらいです。
少ないリフトで高速ピッチで動き、流れないフォールでストンとリアクションが仕掛けられるフルメタならではの技なので、今冬フィールドに通われる予定の方は、是非試してみて下さい。
フルメタルソニック 開発秘話
フルメタルソニックのプロト第1号を持って、テストに出かけだしたのは、2年前の10月後半で、やっと実釣テストを行えるプロトが数種類出来た時でした。フルメタルソニックに使っている素材は、日本刀にも使われる非常に硬い鋼材を使用している為、プロトを作るのがメチャクチャ大変だったのが思い浮かんできます。
通常のメタルバイブは、加工がし易い比較的柔らかい真鍮などの鋼材を使用するのですが、素材の柔らかさ故、板の厚みを0.8~1ミリとらないと強度に不安が残ります。フラッシュユニオンではここに着眼し、フルメタルを使う事で0.4ミリという極薄プレートを実現しましたが、この素材がまた、凄い! 何が凄いかというと、ケタ外れに硬く、フックやスナップをセットする穴が開けられないほどの硬さです。
一個のフルメタの穴を開けるのに、ドリルの刃が3~4本いるのです、とにかく硬くて中々開かなく、しかも直ぐにドリルの刃が折れて使い物にならなくなってしまうのです。こんな苦労をしながら完成させたプロト第1号では、予想以上のとんでもないレスポンスと素早いピッチに自分でも驚きを隠せませんでした。
その日のテストでは、瀬田川のオカッパリでいきなり55クラスと62センチのバスをヒット!! 穴あけの苦労も吹っ飛ぶ恐るべき結果となりました。
それから1年間、モデルチェンジを繰り返しサンプルを作り込み…
昨年の冬に何とかリリースする事が出来ました。
昨年の冬の釣果情報は凄まじいもので、その口コミで一気に広がったようです。
ただ、フルメタルソニックが船団の中でも圧倒的に釣れるのにはまだ明かしていない秘密があり、板が薄い=レスポンスの良さと思ったメーカーが、薄いだけのプレートを採用してくると思っていたので、あえてその秘密は公開していませんでした、薄いだけではダメなんです。
次回はその秘密を明かします。